君と二人の201号室





あれから、ファミレスにやって来た。

窓際のテーブル席に、私と向かい合って座るお母さんと、私の隣に座る拓海さん。


…気まずい。

いや、気まずいも何もないんだろうけど。

むしろ、気まずいのはお母さんの方か。



「どこから話せばいいかしら…?」

「どこからでも構いません」



会えたのがどこか嬉しいくせに、怒ってるような気持ちもあり、複雑な感覚だから、つい、意地を張って敬語なんかを使ってしまう。



「……最初から話そうかしら」

「はい、どうぞ」



お母さんの意外と小さな口が開き、私は気を引き締めた。



「菜帆を置いていったのは……本当にごめんなさい」

「別に…。あのままでも嫌だったし。どうでもいいです」

「信じてもらえるかはわからないけど…。本当のこと話すわね」

「…そういう前置きとかいいんで。早く終わらせてもらえますか」



なんだかもう、嫌になってきてしまった。

私は今、かなり不安定なのだろう。



「鬱状態になっていて…。夏帆がお腹にできたときは嬉しかった。勝手に、菜帆も喜んでくれると思った。喜んで、何でも協力してくれると思った」

「そんなわけ…!」

「いいよ、拓海さん。…続けてください」



拓海さんが反論してくれたのは嬉しかったけど、この人にはっきりと文句を言っていいのは私だけだ。

…なんて、変なプライドみたいなものがある。




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