君と二人の201号室
「実は、倒れちゃって。…2回目で、ここだけの話、もうあんまり先が長くないの」
「…噓ですか?」
「本当。病院に確認してもらってもいい」
だって、お父さん、そんなに年いってないのに…。
「お父さんもね、カウンセリング受けて、今はちゃんと普通の人間…なの。それで、病院のベッドの上で、菜帆のことぼやいてた」
「…そうですか」
「それで、すぐにでも菜帆に会いに行こうかと思ったんだけど、妹に聞いたら、「場所なんか知らない」って…言われて」
「あ」
そういえば、叔母さんには引っ越したこと言いたくなくて、連絡してなかったんだ。
「だから、探偵さんを雇って、あそこを突き止めたの」
「…そうですか」
「それで、渡したいものがあってね」
「はい」
ガサゴソと持っている持っているバッグの中を探るお母さん。
「あ、あった」とこぼして取り出したのは、白い封筒。
「これ、お父さんからの手紙。伝言で、『読みたくなかったら、読まずに捨てても構いません』…ですって」
「そうですか…。…読んでみてもいいですか?」
「もちろん」
顔を見てしまったらきっと話せないけど、わざわざ手紙を書いてくれて、お母さんにあんな言付けを残してくれたなら、少し気になる。
それに、信じたい。お母さんの話を。…怖いって言ったら、怖いのも事実だけど。
私は、緊張しながら、受け取った手紙を開いた。