君と二人の201号室
理想的ウエディング
「菜帆ちゃんに提案があるの」
瞳さんからそんなことを言われたのは、お母さんと会ったあと、しばらくしてからお父さんにも会いに行った日の翌日。
今まであった色濃いことを全部話し終わってからのこと。
その『提案』は、少し抵抗があったけど、私は嬉しくもあったので、渋々了解した――。
*
「菜帆、どれがいい?俺的にはこれとか……」
「露出多いです!却下です!」
拓海さんに差し出されたものを見て、私は即座に却下した。
見てる分にはいいんだけど、自分で着るとなるとまた別の話になってくる。
「これは?」
「あ、可愛い…。お花の刺繡もある!…でもこっちも捨てがたい…」
「両方着たらいいじゃん」
「それは贅沢すぎます…」
「お色直しで」
「あぁ、なるほど…!」
私と拓海さんが何をしているのかというと、ウエディングドレス選び。
瞳さんの提案により、結婚式をすることになったのだ。
お父さんの先が長くない…ということで、結構前にプロポーズもしてもらったし、結婚式しよう!…ということになった。
もちろん、お父さんとお母さんも呼んで。
…相変わらず、瞳さんは思考回路がぶっ飛んでる。
でも、そんな瞳さんに助けられてるのも嬉しくて。
…お父さんとお母さんも、泣きながら喜んでくれた。
お父さんとお母さんとの関係は……そこまでよくはないけど、順調に回復していってると思う。…多分。