君と二人の201号室


「そういえば拓海さん、朝ごはんとかってもう食べたんですか?」

「いや、まだ。俺もちょっと前に起きて、さっきまでシャワー浴びてただけだから」

「じゃあ、拓海さんの分も何か作りますか?」



私がそう聞くと、拓海さんは少し顔をしかめた。


あれ、何かマズいことでも言ったかな、私。



「お願い……と、言いたいところだけど、冷蔵庫空っぽでさ……。カップラーメンと昨日買ったおにぎりあるから、とりあえずそれにしよう」



あ、そういうこと……。



「わかりました。拓海さんはどっちがいいですか?」

「うーん…。おにぎりで」

「じゃあ、私はカップラーメンにします!」



カップラーメンか…!食べるのいつぶりだろう。


しかも、このメーカーのカップラーメン、特においしいんだよね…。



「…テンション高いね、菜帆」

「このメーカーのカップラーメン、好きなんです。あと、久しぶりに食べるから…」

「そっか」



…カップラーメン、本当は食べたかったけど、地味に高いんだよね。

自炊した方が安いから、最近はずっとそうしてたけど。



「拓海さんは、おにぎり、好きなんですか?」

「うん、結構好きかな。料理が苦手な母親が唯一よく作ってくれて、思い出もあるし。なんか、食べてると思い出すんだよな」

「…そうなんですか……。…具材は、何が一番好きですか?」

「王道の鮭」

「おいしいですよね!」



拓海さんと、まだ食事中でもないのに、おにぎり談議を炸裂させる。…意外と盛り上がるもんなんだなぁ…。


……お腹空いた。早くカップラーメンの用意をしよう。



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