君と二人の201号室


拓海さ…が久しぶりに完璧壊れた。…んだと思う。多分。



「菜帆、やっぱそれ、やりずらい?」

「は…うん…」



また「はい」って言いそうになってしまった。

いけないいけない。



「もーなんかもーいいや」

「え?」

「無理しなくていいよ。ただ、たまーにやってほしいかも」

「え、それは……」

「今まで通りでも大丈夫」

「よかった…」



拓海さんにそう言われて、肩の荷が下りた気分。

プレッシャーから解放された。



「じゃ、じゃあ、改めて?っていうのも何か変ですけど。これからもよろしくお願いしますね、拓海さん」

「もちろん。…やっぱ、菜帆はこんな感じだよねー」

「?何か言いましたか?」

「いや、何も」



拓海さんが「もちろん」って即答してくれたのは嬉しかったけど、その後の言葉が聞き取れなかった。

けど、はぐらかされてしまった。



「菜帆」

「はい」

「チューしよっか」

「!?な、ななな、なんですか急に!びっくりするじゃないですか!」



突拍子もないことを言い出す拓海さん。



「…でも、そんな俺が好きなんでしょ?」

「それは……そうですけど」



そんなことを言われると、何も言い返せなくなってしまう。




< 164 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop