君と二人の201号室





月日はあっという間に流れ、いよいよ結婚式当日。

私は今、メイクルームにいる。

そして、式場の人がドレスも着せてくれて、メイクもしてくれている。



「ふふっ。新婦さん、お若いですよね?何歳ですか?」

「…まだ、16歳です」

「あら。ってことは、高校生?」

「そうです…」



場を和ませようとしてくれてる彼女だけど、私は緊張でガッチガチで。

受け答えが上手にできない。



「…もしかして緊張してる?」

「…はい」



さすが…とでも言うべきだろうか。ばっちり正解。



「あはは。誰でも緊張するものだから大丈夫よ。ましてや、こんなに若いんだもんね」

「…そう、なんですか?そういうものなんですか?」

「そうそう。でも、せっかくの結婚式で、一生に一度の機会でしょ?できるだけ楽しむようにした方がいいかもしれないよね」

「…確かに」



緊張しすぎていたら、きっと軽く記憶も飛んじゃうんじゃないかな…なんて思う。



「…だから、皆さんが少しでも楽しめるようにするのが、私たちの仕事なのよ」

「…いいお仕事ですね」

「えぇ」



誇らしげにそう返事をした彼女はなんだかとても綺麗で、こんな人に担当してもらえてよかったな…なんて思った。

…将来、こんな仕事に就けたらいいな。こんな仕事やってみたいな…なんて興味が湧いてきた。

…今度、拓海さんに相談してみようかな。




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