君と二人の201号室
*
月日はあっという間に流れ、いよいよ結婚式当日。
私は今、メイクルームにいる。
そして、式場の人がドレスも着せてくれて、メイクもしてくれている。
「ふふっ。新婦さん、お若いですよね?何歳ですか?」
「…まだ、16歳です」
「あら。ってことは、高校生?」
「そうです…」
場を和ませようとしてくれてる彼女だけど、私は緊張でガッチガチで。
受け答えが上手にできない。
「…もしかして緊張してる?」
「…はい」
さすが…とでも言うべきだろうか。ばっちり正解。
「あはは。誰でも緊張するものだから大丈夫よ。ましてや、こんなに若いんだもんね」
「…そう、なんですか?そういうものなんですか?」
「そうそう。でも、せっかくの結婚式で、一生に一度の機会でしょ?できるだけ楽しむようにした方がいいかもしれないよね」
「…確かに」
緊張しすぎていたら、きっと軽く記憶も飛んじゃうんじゃないかな…なんて思う。
「…だから、皆さんが少しでも楽しめるようにするのが、私たちの仕事なのよ」
「…いいお仕事ですね」
「えぇ」
誇らしげにそう返事をした彼女はなんだかとても綺麗で、こんな人に担当してもらえてよかったな…なんて思った。
…将来、こんな仕事に就けたらいいな。こんな仕事やってみたいな…なんて興味が湧いてきた。
…今度、拓海さんに相談してみようかな。