君と二人の201号室
「はい、できましたよ」
「え!?…おぉ…」
ボーッと考え事をしていた私は、スタッフさんの声で現実に戻る。
鏡に映った女の子は、私より何倍も可愛くなっていた。
「すごい…。メイクとドレスってすごい…」
「ふふっ。あなたの場合、元も、ものすごくよかったですよ?」
「…?そうなんですか…?」
「はい。肌や髪の毛も綺麗ですし、パーツも整っていますし」
そう言って、ニコニコと微笑んだスタッフさんだけど、私はやっぱりよくわからなかったので、とりあえず「ありがとうございます」とだけ言っておいた。
――コンコン
「菜帆、そろそろ着替えとか終わった?」
「あ、はい。終わりました!」
「あら、旦那さんが迎えに来たんですか♡」
私より嬉しそうに(というか楽しそうに?)するスタッフさん。
「ね、入っていい?」
「え…はい…。…どうぞ…」
「失礼しまーす」
聞き慣れた声とともに入ってきたのは、白いタキシード姿の拓海さんだった。
「拓海さん、めちゃくちゃかっこいいです…!」
…恐ろしいほど似合ってるのがまたすごい。
…白いタキシード着こなせる人とか、そうそういないと思う。すごい。
そんな拓海さんは、さっきからずっと、固まってる。
「あ、あの…拓海さん…?」
「すっごい。すっごい似合ってるよ、菜帆。超可愛い…それに、すごい綺麗だよ」
「あ、ありがとうございます…!綺麗だし、可愛いですよね!このドレス!」