君と二人の201号室


「元カノ…?一応、いるにはいたけど…」

「…けど?」

「幻滅されるかな…?…好きじゃなかった」



…え…っと……?それは一体どういう…?

あんまり突っ込まない方がいいのかな…。


…というか、いたんだ……。…いないとは思ってなかったけど。



「だから、部屋に入れたことある女の子は菜帆が初めてなんだよね。まぁ、母親とか姉貴は別だけど」

「そうなんですか…」



…拓海さんのことを、また少しだけ知ることができた。嬉しいな。

…お姉さんも美人なんだろうな…。


…って、お湯!

また忘れてるし!早く沸かさなきゃ!


私は慌ててやかんに水を入れて、それをコンロ…じゃない、これ、IHヒーターだ。IHヒーターにかけた。…どんだけテンパってんの、私。







ボコボコボコボコ……



沸騰したことを知らせる、特有のあの音が鳴り始めた。

…放置すると、吹き零れという悲劇を起こす危険性がある、アレ。


私は急いでIHヒーターのスイッチを切る。


そして、やかんの中のお湯を、かやくまで入れ終わったカップラーメンの入れ物に注ぐ。

…これだけでもう、おいしそうだと思う私は、相当お腹が空いてるんだな……と苦笑する。

いや、待つんだ私。あと4分待てば、おいしいカップラーメンにありつける!その為には我慢だよ!…とくだらないことを言い聞かせ、蓋を閉じる。



「拓海さ~ん!お湯沸きました~!」



キッチンから、リビングにいる拓海さんに呼びかける。

確か、インスタントコーヒーを淹れるって言ってたから。



「わかった~!今行く~!」



拓海さんの返事が聞こえたおよそ5秒後に、拓海さんは私の隣に来た。早い。



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