君と二人の201号室
「元カノ…?一応、いるにはいたけど…」
「…けど?」
「幻滅されるかな…?…好きじゃなかった」
…え…っと……?それは一体どういう…?
あんまり突っ込まない方がいいのかな…。
…というか、いたんだ……。…いないとは思ってなかったけど。
「だから、部屋に入れたことある女の子は菜帆が初めてなんだよね。まぁ、母親とか姉貴は別だけど」
「そうなんですか…」
…拓海さんのことを、また少しだけ知ることができた。嬉しいな。
…お姉さんも美人なんだろうな…。
…って、お湯!
また忘れてるし!早く沸かさなきゃ!
私は慌ててやかんに水を入れて、それをコンロ…じゃない、これ、IHヒーターだ。IHヒーターにかけた。…どんだけテンパってんの、私。
*
ボコボコボコボコ……
沸騰したことを知らせる、特有のあの音が鳴り始めた。
…放置すると、吹き零れという悲劇を起こす危険性がある、アレ。
私は急いでIHヒーターのスイッチを切る。
そして、やかんの中のお湯を、かやくまで入れ終わったカップラーメンの入れ物に注ぐ。
…これだけでもう、おいしそうだと思う私は、相当お腹が空いてるんだな……と苦笑する。
いや、待つんだ私。あと4分待てば、おいしいカップラーメンにありつける!その為には我慢だよ!…とくだらないことを言い聞かせ、蓋を閉じる。
「拓海さ~ん!お湯沸きました~!」
キッチンから、リビングにいる拓海さんに呼びかける。
確か、インスタントコーヒーを淹れるって言ってたから。
「わかった~!今行く~!」
拓海さんの返事が聞こえたおよそ5秒後に、拓海さんは私の隣に来た。早い。