君と二人の201号室
「5点で、723円になります」
「…」
さっきからこの人、固まってる。しかも、私を見つめながら。
どうしよう、すごくやりづらい。
「おにぎり、あたためますか?」
「あの…好きなんですけど」
「…………へ?」
今、空耳が聞こえたような。
えっと…聞き間違い?
「あ、おにぎりは冷たいままでお願いします」
「あ、はい…」
何事もなかったかのように続けてくるから、きっと空耳だろう。
なんてもの聞こえるんだ……私。
さすがに、連日コンビニで深夜バイトはキツかったのかな…。
睡眠時間欲しい…。
「今日は何時に終わりますか?仕事」
「…このまま、日付が変わったあとの2時までですけど…」
「じゃあ、待ってますね」
「……はい…………?」
どうやら、空耳ではなかったっぽい。
…え、変な人…とかではないよね…?
いや、もう既に十分変な人か……。
見ず知らずの女子高生のコンビニバイトに、深夜11時に告白するところとか。
悪い人には見えないんだけどなぁ…。
でも、そういう人に限って悪い人だったりするからなぁ。
やっぱり、警戒心を持つに越したことはない!
もし、本気で好きとか言ってて、本気で待ってる、とかだったら申し訳ないけど。
噓かもしれないけど、本当に待っててくれたら、この寒い中待たせるのは悪いから、ちょっとだけ確認してみようかな。…本当に待ってたら、3時間待たせることになるし。