君と二人の201号室


それから、私と拓海さんの間には一切会話はなく、私も拓海さんも、ひたすら黙々と食べ続けていた。

でも、会話がなくても心地良かったし、おいしかった。







「「ごちそうさまでした」」



二人とも食べ終わったので、ゴミを片付ける。


…おいしかったなぁ……。



「菜帆、今日ってバイトある?」

「お昼過ぎ…確か、2時からバイトです。カフェで」

「じゃあ、今は時間ある?」

「…はい、大丈夫です!」



本当は、空き時間には、学校で出された課題をやる予定なのだけど、そういえば今回の課題は、全部学校で終わらせてきたんだっけ…と、思い出した。

そうだ、それで学校に鞄ごと全部置いてきたんだっけ。教科書とかノートとか。(良い子は真似してはいけません。)

完全に忘れてた。

…家に置いとくより、学校に置いておいた方が(見つかったら怒られるけど)安全だと思ったから、基本学校に置いてるんだった、そうだった。


…今さらだけど、そんな家に住んでた私って……。



「よかった。なら、今からスーパー行かない?」

「スーパー、ですか?」

「うん。冷蔵庫空っぽだし。これから菜帆に作ってもらうのに、材料無かったら話にならないでしょ」

「…はい」



確かに、さすがの私でも、何もないところから作らなきゃいけない…というのは無理だ。食材を無駄なく使うことなら得意だけど。


スーパーか…。

この辺のスーパーってどこだろう…。



「ここから歩いて20分ぐらいなんだけど……自転車で行こっか」

「自転車…ですか?」

「うん。俺、自転車持ってるし。ここの管理人に言えば、自転車貸してくれるし。菜帆、自転車乗れる?」

「それは、大丈夫です!中学の時、登下校で使ってたので!」




< 21 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop