君と二人の201号室
それから、私と拓海さんの間には一切会話はなく、私も拓海さんも、ひたすら黙々と食べ続けていた。
でも、会話がなくても心地良かったし、おいしかった。
*
「「ごちそうさまでした」」
二人とも食べ終わったので、ゴミを片付ける。
…おいしかったなぁ……。
「菜帆、今日ってバイトある?」
「お昼過ぎ…確か、2時からバイトです。カフェで」
「じゃあ、今は時間ある?」
「…はい、大丈夫です!」
本当は、空き時間には、学校で出された課題をやる予定なのだけど、そういえば今回の課題は、全部学校で終わらせてきたんだっけ…と、思い出した。
そうだ、それで学校に鞄ごと全部置いてきたんだっけ。教科書とかノートとか。(良い子は真似してはいけません。)
完全に忘れてた。
…家に置いとくより、学校に置いておいた方が(見つかったら怒られるけど)安全だと思ったから、基本学校に置いてるんだった、そうだった。
…今さらだけど、そんな家に住んでた私って……。
「よかった。なら、今からスーパー行かない?」
「スーパー、ですか?」
「うん。冷蔵庫空っぽだし。これから菜帆に作ってもらうのに、材料無かったら話にならないでしょ」
「…はい」
確かに、さすがの私でも、何もないところから作らなきゃいけない…というのは無理だ。食材を無駄なく使うことなら得意だけど。
スーパーか…。
この辺のスーパーってどこだろう…。
「ここから歩いて20分ぐらいなんだけど……自転車で行こっか」
「自転車…ですか?」
「うん。俺、自転車持ってるし。ここの管理人に言えば、自転車貸してくれるし。菜帆、自転車乗れる?」
「それは、大丈夫です!中学の時、登下校で使ってたので!」