君と二人の201号室
そうなのだ。
貧乏学生の私でも、自転車に乗ったことはあった。
…近所の人が、お古をくれて。今はもう壊れたけど。
自転車も、乗るの久しぶりだなぁ。
「じゃあ行こう。…というか、俺が生活費出すんだから、菜帆はバイトしなくてもいいのに」
「…いや、自分の生活費は自分で……」
「菜帆」
「…ハイ」
拓海さんがあまりにもはっきりと言うから、私は頷くほかなかった。
拓海さん、こんな時だけ恐い雰囲気出すのやめてもらえませんか。
「じゃあバイトはやめ…「やめるのは無理です…」
今度は、私が拓海さんの言葉に被せて言った。
『バイトを続ける』これだけは譲れない。
「…なんで?」
「ちょっと、色々あって…」
「…そっか。でも、せめて減らして。いつか菜帆がぶっ倒れるんじゃないかって、落ち着かないから」
「わかりました…」
生活費分が浮いたから、その分くらいはバイト減らしていいかな…。
場所…は、みんな私によくしてくれてる職場ばっかりだから、もう少し貢献したいから…少しずつシフト減らそう。
コンビニの夜勤は…そろそろキツい。11時ごろならまだ平気だったけど、さすがに2時はキツい。
…近々、バイト先の店長たちに相談しよう。というか、カフェの店長いたら、今日にでも相談しよう。
「菜帆、じゃあとりあえず、スーパー行こう」
「あ、そうですね」
話が脱線してた。
そうだ、スーパー行く話してたんだった。
「菜帆。とりあえず、昨日着てた服洗濯しておいたから、これに着替えちゃいな」
「ありがとうございます…!じゃあ、着替えてきますね」
…いつのまに…。…洗濯は出来るんだ。
私は、眠っていた部屋に行き、拓海さんから受け取った服に着替えた。