君と二人の201号室
*
「拓海さん、ここですか?」
「うん、そうそう」
着いたのは、私の想像を遥かに超えるくらい大きなスーパー。
…駐車場の広さで、お店の規模がわかる。めっちゃ広い。
「菜帆、買うもの決まってる?」
「…とりあえず、卵と野菜とお肉とお魚は買っておきたいですね~。あと、できれば果物も。あ、そうだ。拓海さん、調味料とか牛乳とかってありますか?」
「いや、なんにもないよ。本当になんにもない」
「そうですか…。塩と胡椒は?」
「それはある。けど、片栗粉?とかはないよ。ケチャップとかマヨネーズも。」
「そうですか。…一応、確認して来ればよかったですね」
…というか、引っ越しして来るんなら、食材…は、ないな。うちにはない。
…調味料くらいは買わなくても大丈夫かな。あ、いやでも…賞味期限がどうかな…。普通に期限切れのもの使ってたりするからな…。
うん、やっぱり全部買おう。
その方が安心安全だ。
私一人だったら、別にお腹壊そうが壊さまいが、どうでもいいんだけど。…っていうか、賞味期限切れのもの食べたところでどうにもならない。
拓海さんにも食べさせるんだから、間違いない方がいい。
「菜帆、何から買うの?」
「そうですね~、野菜から見ましょうか」
「…新婚さんみたいだね」
「…また、それですか?」
前にも確か言ってた気がする。
…今回は私も、ちょっとだけそう思ったけど。
周りの人から見たら、そんな風に見えてるのかなぁ…って。
…恥ずかしい。
そんな考えを置いておき、私たちは野菜売り場へ向かった。