君と二人の201号室
「あ、モヤシがあります!モヤシ買いましょう!」
「…菜帆、モヤシ好きなの?」
「いえ、低カロリーで安いのに、お腹に溜まる!しかもおいしい!最強の野菜だと思ってるだけです!」
「…なるほど」
拓海さんは納得したかのように頷いた。
モヤシのすごさをわかっていただけただろうか。…って、私誰目線で思ってるんだ。
「とりあえず…2、3袋くらい買いましょうか」
「おまかせします」
拓海さんがそう言ったので、私はモヤシの袋をいくつか手に取り、買い物カゴへ入れた。
よし、今日の晩ごはんにはモヤシを使おう。
…モヤシ炒めにしようかな。豚肉入れて。
あ、じゃあ、豚肉あとで買わなきゃ。
「あとは…お弁当に入れるならミニトマトがいいですかね~。あと、ブロッコリーも。彩り大事ですから。あと…ニンジンも必要ですかね」
「…菜帆って、意外とこだわりありそうだよね」
「こだわりはまぁ…それなりにありますけど…。意外ですか?」
「うん」
そんなに意外なんだ…。即答されるほど。
…貧乏だからか。
こだわりくらいはありますよ、と心の中で言っておく。
私はそんなことを考えながら、ミニトマト、ブロッコリー、ニンジン…と、あと、普通のトマトもカゴに入れた。
…いつも自分の分しか作らなかったから、二人分って…どのくらいなんだろ。
単純計算で二倍…は、ダメか。拓海さんは男の人だし、きっと私よりもたくさん食べるだろうから。
…そういえば、ブロッコリー買うんなら、マヨネーズも買わないとな…。さっき、「ない」って言ってたし。