君と二人の201号室

「あぁもう、その目つきも可愛いね。菜帆、他の人をそんな目で見ないでね。いや、むしろ誰も視界に入れないで」

「いや、それは無理です…」



おーい、拓海さーん。キャラ崩壊してますよー。

と、心の中で呼びかけるけど、もちろん返事はなく。



「拓海さん、なんかさっきから、ちょっと雰囲気違いますね…」

「…ごめん、我慢できなくて」



何の我慢！？



「でも、菜帆が悪いんだよ？」



私、何かやらかしましたか！？


やっぱり、さっきのお会計金額は高すぎたのかな…と、一人私はテンパる。



「菜帆があまりにも可愛すぎるから、抑えが効かないんだよ？」

「何のことですか…？」

「今まで取り繕ってたけど、やっぱ限界ってあるみたい」

「だから、何の話…」

「大丈夫かなー。抑えられるかなー、理性」



…なにやら、危険な状況かもしれないということは察した次第であります。



「そんなに怯えなくても大丈夫だよ。いくら俺でも、菜帆を泣かせるようなことだけは、するつもりない…っていうか、元ヤンの菅谷さんに誓っても絶対しないから」

「…はい」



菅谷さん、元ヤンなんだ……。なんか、それっぽいけど…とか言ったら怒られるか。


拓海さんが、私を大事にしてくれてるのは、わかる。

だから…そんなに不安じゃない。


拓海さんなら大丈夫、って、なんでかそう思えるんだ。