君と二人の201号室
恋を知りたいんです
「菜帆ちゃん、やっほー」
「あ、店長。こんにちは」
「釣れないなぁ」
いや、釣れないってなんですか。私は魚ですか。違うよね、うん。
ここのカフェの店長は、割と若い男の人。…結構チャラい。
年は…20代半ばぐらいだと思う。拓海さんよりは確実に上だ。
「あ、店長。シフトのことで相談があるんですけど…」
「うん、なになに?」
「来月のシフト、今月の半分程度にしてもいいですか?」
私が店長にそう聞くと、店長は目を見開いて、驚いたような顔をする。
「いいけど…。大丈夫なの?もしかして、新しいバイト先も決まったとか?」
「あ、いえ…。ただ、生活費の心配がなくなったといいますか」
「…何があったの?」
「簡潔に言うと、拾われました」
…しまった、この言い方はマズいか。
あ、今の店長の顔、面白い。
「…何があったの?」
「コンビニでバイトしてたら、その…告白されて。友達になって、家まで送ってもらったんですけど…。家を見られて『一緒に暮らさない?』って言われて」
「それで着いて行ったの?」
店長は眉をひそめて私を見る。
心配、してくれてるんだろうなぁ…と思い、嬉しくなる。
「はい。悪い人ではなさそうだったので」
「いつの話?」
「昨日です」
「昨日!?」
うん、店長が驚くのも無理ないと思う。
私だって未だに、半分くらい状況わかってないもん。