君と二人の201号室
「男…の家に泊まってるってこと……?」
「はい。…というか、居候って感じですかね?」
「色んな意味で大丈夫?」
「はい、多分」
…すごく心配されてるなぁ。
そんなに焦らなくても大丈夫なのに。いい人すぎる。
…なんて、私が店長の立場だったら、同じようになると思うけど。
「…そっか。ならよかった」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあ、バイトのシフトのことはわかったよ。そろそろ、交代の時間かな」
「はい。じゃあ、そろそろ出ますね」
私は制服…というか、ここの店のエプロンをつけながらそう言った。
「よろしく」
…よかった。シフトのことも言えたし、居候の件も報告したし。
「いらっしゃいませ~!」
スッキリしたせいか、いつもよりも接客する声がハキハキしている気がする。
…まぁ、ここのバイトが楽しいっていうのと、昼間だからっていうのもあるんだろうけど。
はぁ…。
やっぱり、土曜日でも雨の日はいつもよりお客さん少ないなぁ…。
カランカラン
「いらっしゃいま…せ…。…1名様で……よろしいでしょうか…」
「はーい♪」
「お席に…ご案内いたします…」
…なんで、拓海さんが……。
…まさか、尾行してた…とか?
…あの壊れっぷりを見た後だから、否定できないのが何とも言えない。
「菜帆ちゃん、知り合い?」
「…さっき言った、拾ってくれた人です…」
「うわー。イケメンだ…」
「…いい人なんですけど…。ちょっとおかしいんですよね…」
店長とコソコソと拓海さんを見ながら話す。