君と二人の201号室


「あの~、拓海さん?」

「菜帆の浮気性」

「へ!?」

「店長イケメンだから。そんなに見つめてたんだ」



確かに店長もイケメンの部類に入ると思うけども!



「違います!それに、拓海さんの方がかっこいいです!」



…私がたったそれだけしか言わなかったのに、拓海さんはさっきと打って変わって喜々としている。

それを見て、私は「なんてことを口走ってしまったんだ」と思った。咄嗟に、口元に手を当てる。



「菜帆、今の本当…?」

「…本当、ですけど…」



少し照れながらそう言うと、拓海さんがガバッと抱きついてきた。



「菜帆、可愛い。最高。天使。菜帆に褒められるとか…嬉しくて死にそう」

「…死なないでください。…寂しいです」



ついでに、離してください。苦しいです。



「何なの菜帆、俺、悶絶しそうなんだけど」

「…お二人さん、そういうことは他所でやってくれるかな?」



…店長いたんだ…。…見られてたの!?

恥ずかしすぎる…。



「じゃあわかりました。このまま菜帆を連れて帰ります」

「いや、拓海さん!?」



…拓海さんは少し、いや…かなりぶっ飛んでると思う。



「おぉ~、帰りな。二人でせいぜい、イチャイチャしてろ」

「はい、そうします」



…それに悪ノリする店長も、ぶっ飛んでると思う。

ていうか、やめてください。拓海さんの…変なところを増長するようなこと。



< 38 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop