君と二人の201号室


「終わるまで待ってるって言われたんですけど、大丈夫ですかね?」

「…心配ならついて行こうか?どうせお客さん来ないし」

「…それは申し訳ないです」

「何もないと思うけど、何かあったら叫ぶなり、ここに来るなりしなよ?」

「…そうします」



正直「どうせお客さん来ないし」という発言はいかがなものか、と思ったけど本当のことだし、何より心強かった。


本当に待ってるとしたらあまりにも遅いと申し訳ないので、私はそそくさと着替えて店の裏口を出た。







裏口を出てから辺りを見回すと、さっきの人がいた。

コンビニのビニール袋を片手に持っているにもかかわらず、立ち姿がとても様になっているのが、すごいを通り越して恐ろしい。



「あ、柴田さん。お疲れ様です」

「…………」



何でこの人、私の名前知ってるんだろう。

やっぱり、ストーカーの類?


そう思い、彼を訝しげに見ると、彼は焦ったように言った。



「あ、あの、名前ですか?決してストーカーとかじゃなくて、名札に書いてあったのを覚えてて……。すみません。気持ち悪くて」

「あ、いや…。何で名前知ってるんだろうなぁ、とは思いましたけど、そういうことならよかったです」

「…なら、良かった…」



そんな風に、本当に嬉しそうに言うものだから、私は何だか照れ臭くなった。

…そういえば、この人に告白されたんだっけ…。


やっぱり、ストーカーには見えないし…。

大丈夫、かな…?




< 4 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop