君と二人の201号室
「終わるまで待ってるって言われたんですけど、大丈夫ですかね?」
「…心配ならついて行こうか?どうせお客さん来ないし」
「…それは申し訳ないです」
「何もないと思うけど、何かあったら叫ぶなり、ここに来るなりしなよ?」
「…そうします」
正直「どうせお客さん来ないし」という発言はいかがなものか、と思ったけど本当のことだし、何より心強かった。
本当に待ってるとしたらあまりにも遅いと申し訳ないので、私はそそくさと着替えて店の裏口を出た。
*
裏口を出てから辺りを見回すと、さっきの人がいた。
コンビニのビニール袋を片手に持っているにもかかわらず、立ち姿がとても様になっているのが、すごいを通り越して恐ろしい。
「あ、柴田さん。お疲れ様です」
「…………」
何でこの人、私の名前知ってるんだろう。
やっぱり、ストーカーの類?
そう思い、彼を訝しげに見ると、彼は焦ったように言った。
「あ、あの、名前ですか?決してストーカーとかじゃなくて、名札に書いてあったのを覚えてて……。すみません。気持ち悪くて」
「あ、いや…。何で名前知ってるんだろうなぁ、とは思いましたけど、そういうことならよかったです」
「…なら、良かった…」
そんな風に、本当に嬉しそうに言うものだから、私は何だか照れ臭くなった。
…そういえば、この人に告白されたんだっけ…。
やっぱり、ストーカーには見えないし…。
大丈夫、かな…?