君と二人の201号室
ごめんなさい。本当にわからないです。
「はぁ…。じゃあもういっか…」
「…!?なにがですか!?」
「ほら、菜帆から抱きしめてくれるんでしょ。早く」
そこまでは言ってない……!
…だけど、拓海さんが…その…犬みたいに見えて、しっぽを振ってる…ような気がしたから、私はそっと拓海さんの背中に両腕をまわして、ギュッと力いっぱい抱きしめた。
そうしたら拓海さんも抱きしめ返してくれて、いつの間にか、拓海さんの腕の中にいた。
「あぁ、幸せ。幸せすぎて死にそう。というか、死ぬならこんな幸せの絶頂で死にたい。今はまだやり残したこと多すぎるから死にたくはないけど」
「『死にたい』なんて軽々しく口にしないでください…」
「ごめんごめん。死ねないよ。菜帆とやりたいこと多すぎるもん。っていうか、まだまだ菜帆とずっと一緒にいたいもん」
優しく笑いながらそう言う拓海さんに、私はなんだかキュンときた。
拓海さん、かっこよすぎます。かっこよすぎて反則だと思います。
「わ、たしも…ずっと一緒にいたいです…」
「それって遠まわしにプロポーズ?」
「ほぇ!?」
「冗談だよ。それは俺からする予定だし」
…それって…。
想像しただけで、私の顔は一瞬で真っ赤になる。
「今日から俺は『菜帆の彼氏』かぁ…」
「え!?」
「え、そうだよね?それで、菜帆は『俺の彼女』になるし」
か・の・じょ…。
なんか、くすぐったい響きだな。
「よろしくお願いします……!」
「うん、こちらこそ。ちなみに離す気はさらさらないからね?」
…離さないでください…。
そばにいたいです。