君と二人の201号室
「菜帆、襲われたいの?朝から」
「何がどうなってその発想になったんですか」
…なんだろう、もうこれ、諦めて(というか呆れて)きた…。
「睨んでるつもりのその目、可愛すぎるし。キスした後に何それ。煽り?煽りだよね?襲われたいの?襲っていいの?」
「だ・め・で・す」
睨みが効果ナシとは…困ったな…。
「…拓海さん、とりあえず、朝ごはん用意するので」
「ん、わかった。よろしく」
「はい」
私は拓海さんから逃げるようにして、寝室からキッチンへ向かった。
…あ、朝から心臓に悪い!
一人になったところで、ひっそりとドキドキを鎮める。
昨日のうちに用意しておいた玉子焼き(お弁当のおかずの余り)と、朝起きてすぐに炊いたばっかりのご飯、あと…お味噌汁。
それぞれを用意して、テーブルに並べる。
…拓海さんは朝に弱いらしいので、全部一人で出来るのが幸いだ。
手伝われたら落ち着かないから。
あ、あと、お弁当の用意もしなきゃな。
「菜ー帆♡」
「拓海さん…」
…いつもより速いですね、着替え。
「お弁当作ってるの?それなら、海苔で『拓海さん大好き♡』って書いてほしいなぁ「却下です」
絶対やりませんからね、そんなの。
…何の罰ゲームですか。
なんでわざわざそんな恥ずかしいお弁当作らなきゃいけないんですか。
「俺のにでもいいよ?」
「…私のお弁当でやらせるつもりだったんですか、それ?」
…本当に勘弁していただきたい。