君と二人の201号室
あ、あれ…?
黙っちゃった…。
え、言ったらアウトなやつだったのかな?
「え、なに、この子。クッッッソ可愛いんですけど」
「え?」
「ただの独占欲の塊だったのに…。もちろん菜帆が可愛いからってのもあるけど…。ごめん菜帆。邪な気持ちでプレゼントして…。浄化されたわ…」
え?え?
浄化…とは…。
「うん。菜帆。行かなきゃだよね。学校。ってか、行こう」
「拓海さん、急にどうしたんですか…?」
心境の変化はありがたいけど…。
深く考えすぎない方がいいのかもしれない。
「…なんでもない。それより菜帆。ネックレス早くつけてみてよ」
「はい!」
嬉しくていつもよりも少し大きい声で返事をしてしまった。
…けど。
「つけられない…」
首の後ろなんて見えないから、手が上手く動かない。
慣れれば、上手につけられるようになるのかもしれないけど。
「貸して。やってあげる」
「お願いします…」
ネックレスすらつけられなくて、ちょっと私、女子としてどうなんだろう。
それを拓海さんに見られるのは、余計に恥ずかしい。
さらにはつけてもらっちゃうっていう…。面目ない。
首の後ろで手が動かされているから、モゾモゾしてて少しくすぐったい。
ネックレスの金属チェーンが肌に直接触れて、ヒヤッとする。
それが何だか、心地よくて、気恥ずかしくて、私は思わず目をつぶった。