君と二人の201号室
「お、何?柴田たち、課題やってんの?俺も混ぜて~!」
そう言って近づいてきたのは、同じクラスの里中くん。
陸上部のエースらしい。
「いいよ。じゃあ、ノートとか持って来てね」
「ありがとう!持ってくる!」
…彼は、運動神経と顔は、ものすごくいいけど…。
*
「うーん、わからない…!」
頭が、致命的に悪い。
「おーい、里中!そんなんじゃ菜帆にいいとこ見せられないぞ~!」
「由奈ちゃん…。私にいいとこ見せるとか、そんな必要ないよ…。そもそも、課題教えてる時点で、いいとこも何もないと思うし…」
「菜帆って、結構ズバッと言うよね…」
「でも、里中くんは、体育の時とかかっこいいと思うから、そんなに気に病む必要ないと思うよ?」
…こんなこと拓海さんの前で言ったら、何されるかわかんないなぁ…。
いなくてよかった…。
言うまでもなく、拓海さんの方がかっこいいけど。
「ちょ、菜帆…」
「え、なにかマズいことでも言った…?」
不安になって里中くんの方を見ると…なぜか、里中くんの顔が真っ赤だった。
…里中くんも、褒められると照れやすい性格なのかもしれない。
「…菜帆って、天然小悪魔だよねー」
「小悪魔?」
拓海さんにも言われたけど、どういう意味なんだろう。
「同棲してる彼氏さんとは?キスまでしかいってないんだっけ?こりゃ、大変そうだよねぇ」
「ゆ、由奈ちゃん…!」
わざわざ、里中くんもいるのに、そんなにわざとらしく言わなくてもいいんじゃないだろうか。