君と二人の201号室
ホワイトクリスマス


それは、引っ越しも完全に済んだ、とある日の出来事。

…12月24日。



「え!?バイトなの!?」

「そうですよ?カフェで」

「今日はクリスマス・イブなのに?」

「なにか問題ありますか?」



今日の予定を聞かれたので答えたら、一気に血相が変わった拓海さん。

クリスマス・イブなんて、そんなことは私でもわかる。でも、だからなんだというんだろう。



「問題ありまくりだよ!俺という彼氏がいるのに!」

「えっと…言ってることがよくわからないんですけど…」

「クリスマスは、大切な人と過ごす日だよ?」



…違うと思う。



「…でも、もうシフト入れちゃいましたし……」

「変えられないの?」



…威圧感がすごい。



「変えられないと思います。でも、今日はなぜか、お給料高いので…」



正社員(?)の人と、同じくらいの時給がもらえる…らしい。店長に言われた。



「『なぜか』もなにも、クリスマスだからでしょ!…もしかして、明日もバイトとか言わないよね?」

「明日もバイトですけど」

「デートしたかったんだけど…」



そういうことなら、事前にアポを取っていただきたい。できれば1週間前ぐらいに。…常識ではないだろうか。

なにも、デートが嫌ってわけじゃないけど…。先約が無ければ、絶対行くに決まってる。1週間前くらいには、もうシフト入れてたけど、言ってもらえたら変更できたかもしれないのに。

でも、さすがに当日と前日は…ムリだ。


と、膝から崩れ落ちてしまった拓海さんを目の前にして、思う。

…ダメな社会人、みたいだ。失礼だけど。

いくら同居してるとはいえ、そのくらいはしっかりしていただきたいところである。




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