君と二人の201号室
「…何時から何時までなの、それ」
少々ふてくされた拓海さんが、上目遣いで聞いてくる。
…どうしよう、可愛いとしか思えない。
「えっと…午後の4時から、お店が閉まる8時までです」
「明日は?」
「明日も同じです」
…なんですか、その絶望したような顔は。
「…そっか…。イルミネーションが確か9時ごろまでだから…。うん、いける。頑張ればいける。うん、頑張ろう」
「…どうしたんですか?」
「ん?バイト終わったら、デートしよ?ってこと」
「…いいんですか?そんな遅い時間に」
8時過ぎとか、めっちゃ寒いですよ?
…そもそも、バイト先の辺りだと、あんまりデートスポットっぽいところないけど…。
「いいもなにも。俺が行きたいんだもん」
「どこ行くんですか…?」
「イルミネーション観に行く」
…あの、キラキラしたやつ?
「バイト先の近くに、そんなとこあるんですか…?」
「まぁまぁ。迎えに行くから、その辺はあんまり気にしないでいて」
めちゃくちゃ気になるところだけど、頑張って気にしないようにしておきます。
…でもほんと、どうするつもりなんだろう…?
考えても考えてもわからない。
「バイトが終わる8時過ぎくらいに、店の裏まで迎えに行くね」
「はい…!楽しみです、デート」
「菜帆ってほんと、そういうの平気で言うんだね…」
「ダメですか!?」
「いや、ダメじゃないけど…」