君と二人の201号室





結局、店長の計らいで、バイトは少し早めに上がることになった。

拓海さんにそう伝えたところ、電話越しでもわかりやすく喜んでいた。



「菜帆、お疲れ様」

「ありがとうございます。拓海さん、どこのイルミネーション観に行くんですか?」

「潮騒公園の」

「え!?」



潮騒公園といったら、ここの最寄り駅から二駅先にある公園だ。観光客もいっぱい来て、かなりの頻度でイベントもやってる。

だから、イルミネーションがあってもおかしくないけど、かなり遅い時間になってしまうのではないだろうか。



「菜帆、心配しなくても大丈夫だよ」

「でも…」

「大丈夫、すぐにわかるから」



…なにがわかるというのだろう。

まさか、タクシー呼んでたりしないよね?高いのに。



「ほら、着いた」

「え…?これ、ですか?」

「そう、これ」



目の前には、新車みたく綺麗な、黒い車。

拓海さんの車、ではないよね…?そもそも、免許持ってた?



「これ、実家から借りて来たんだ。車は持ってないけど、免許は持ってるから」

「そうだったんですか…」



色んな意味で言葉が出ない。

衝撃の告白と衝撃の展開すぎる。


でもそっか。

改めて認識したけど、拓海さんは私より3つも年上なんだ。

そりゃあ、免許を持っててもおかしくない。




< 69 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop