君と二人の201号室


「にしても、かっこいい車ですね…」

「そう?俺も気に入ってるんだよね。親父に交渉して、この車もらおうかな…。もしくは買い取るか」

「そんなに気に入ってるんですか?」

「それもあるけど。菜帆も気に入ってくれたみたいだから。車使えば、いっぱいデート行けるじゃん」



どこまでもそんなことを考えている拓海さん。救いようがない。



「まぁ、それは置いといて…。イルミネーション消えちゃうから、早く行こうか。あ、コンビニでおにぎり買ってきたよ。車の中で食べな」

「ありがとうございます!」



よかった。お腹空いてたから。ちゃんと連絡しておいて。


同居するようになってから、拓海さんに携帯電話を持たせてもらうようになった。やっぱり便利だ。大勢の人が持ちたがるのも納得できる。

それにしても、お世話になりすぎじゃないだろうか、私。



「さぁ、お姫様。お車に乗ってください」

「お姫様じゃないです…!」

「はいはい。俺にとってはお姫様だからいーの」



反論する私を適当に流して、さらには例の如く照れさせる拓海さんは、前よりスキルが上がったんじゃないだろうか。悔しい。


車に乗ってみると、やっぱり内装も新車みたいに綺麗だった。

…新車なのかな。



「拓海さん、この車、新車なんですか…?」

「いや、5年…とか、そのくらい経ってるんじゃないかな」



…それにしては、綺麗すぎではないでしょうか。

一体どんな手入れをしているのやら。車、好きなのかな。拓海さんのご両親。


謎がぐるぐる頭の中で回っていたけど、お腹が空いたのでとりあえず、拓海さんが買ってきてくれたコンビニおにぎりを食べることにした。

コンビニのビニール袋の中に、いくつかのおにぎりと…チョコレート。またですか。


たくさん入ってる中から、私はツナマヨおにぎりを取り出し、個包装を解いて、海苔のパリッという音をたてながら頬張った。美味しい。



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