君と二人の201号室
「菜帆、何食べてるの?」
「ツナマヨです」
「一口ちょうだい」
「いいですよ」
…OKしてから気付いたけど、これってもしや、間接キス…!?
いやいや、普通のキスだってしたことあるもん。これくらいどうってこと…。
「菜帆、運転中で手が離せないから、食べさせて。事故ったら危ないでしょ」
「え…」
そうですか、うん。
やるしかない。
でも、これは…キスとはまた違ったドキドキがあって恥ずかしい。
「はーやーくー」
ちびっ子みたいに急かしてくる拓海さん。
覚悟を決めろ、私…!
「た、拓海さん、口、開けてください!」
「ほい」
「あ、あーん…」
パクッ
「うん、美味しい。菜帆が『あーん』してくれたおかげで、美味しさ100万倍増しだね」
「…(なんでそこまでしちゃったんだろ)」
言わなくてもいいのに、そんなこと。
恥ずかしくて拗ねたので、私は黙々とおにぎりを食べ始めた。…やっぱ美味しい。
窓の外を見ると、LEDライトで装飾された街路樹や、華やかなお店のやけにキラキラした灯り、信号待ちの車のライト、信号機の青い光や赤い光。
冬の夜の街は、とても綺麗だ。
ふと、視界に白いものが降ってきた。雪だ。
「…ホワイトクリスマス」
に、なるかもしれない。何だかロマンチックだ。