君と二人の201号室


「菜帆、何食べてるの?」

「ツナマヨです」

「一口ちょうだい」

「いいですよ」



…OKしてから気付いたけど、これってもしや、間接キス…!?

いやいや、普通のキスだってしたことあるもん。これくらいどうってこと…。



「菜帆、運転中で手が離せないから、食べさせて。事故ったら危ないでしょ」

「え…」



そうですか、うん。

やるしかない。


でも、これは…キスとはまた違ったドキドキがあって恥ずかしい。



「はーやーくー」



ちびっ子みたいに急かしてくる拓海さん。

覚悟を決めろ、私…!



「た、拓海さん、口、開けてください!」

「ほい」

「あ、あーん…」



パクッ



「うん、美味しい。菜帆が『あーん』してくれたおかげで、美味しさ100万倍増しだね」

「…(なんでそこまでしちゃったんだろ)」



言わなくてもいいのに、そんなこと。


恥ずかしくて拗ねたので、私は黙々とおにぎりを食べ始めた。…やっぱ美味しい。


窓の外を見ると、LEDライトで装飾された街路樹や、華やかなお店のやけにキラキラした灯り、信号待ちの車のライト、信号機の青い光や赤い光。

冬の夜の街は、とても綺麗だ。


ふと、視界に白いものが降ってきた。雪だ。



「…ホワイトクリスマス」



に、なるかもしれない。何だかロマンチックだ。




< 71 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop