君と二人の201号室

「拓海さんのお姉さんって、どんな人なんですか…？」

「悪魔」



…即答ですか。

多分、その回答お姉さんが聞いてたら、何されるかわからないと思います。…まぁ、いないから言ったんだろうけど。


でも、それだけじゃどんな人なのかはわからないしなぁ。



「…今度、来る？実家」

「いいんですか？」



私がそう聞くと、拓海さんは微笑みながら答えた。



「いつかは連れてく予定だし。お正月とか、どう？…って、菜帆も実家に帰るか」

「帰りませんよ？」

「え！？」

「実家、帰りませんよ？」



…帰るもなにも。

そもそも、あそこには行きたくない。もう二度と。



「…じゃあ、菜帆も来る？お正月に」

「いいですか？」

「もちろん。『俺の未来のお嫁さん』って紹介する」

「それは気が早いです」

「『気が早い』ってことは、もう少し後ならちょうどいい…って、思ってるの？嬉しいなぁ」



…なんでそうなるんですか。どうしてその解釈に至るんですか。



「まぁ、言うけどね」



言うんですか。さっきの話、益々なんだったんですか。

というか本当に、恥ずかしいのでやめてください。…仕返ししたい。けどムリ。