君と二人の201号室





12月26日。

今日もバイト。拓海さんはお仕事に行っている。



「へぇ~。で、お正月に行くんだ?彼氏くんの実家」

「はい…」



店長、そんなに楽しそうにしないでください。



「頑張って」

「ハイ…。それより、クリスマスの日、何があったんですか?」

「あぁ、その日は……「わ~!この子が菜帆ちゃん!?可愛い~!」



悲鳴に似た叫び声が聞こえたかと思いきや、次の瞬間、優しい匂いに包まれる。



「やめろって、木葉!」

「だって~。可愛いんだもん!仕方ないじゃん?」

「仕方なくない…」

「…誰ですか?」



めっちゃ美人ですけど。

ふわふわ優しい、お花の匂いがした。女の人って感じ。貴女が可愛いです。



「木葉です!この人の婚約者です!」

「……。…え!?」

「あはは、菜帆ちゃん、反応面白~い!」

「…例の、失踪した人」

「クリスマスの奇跡サプライズしたんだ~」

「サプライズなんてレベルじゃないだろ…」



…なんだろう、夫婦漫才見てるみたいな。


でも、いつもすましてる店長が、こんなに口悪くなったりするのも、家族とか木葉さん相手だけなんだろうな…と思った。




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