君と二人の201号室
私とお正月とご家族
拓海さんの車(交渉して、正式にプレゼントされたらしい)に乗るのは、あのクリスマスイブ以来だ。
前も乗ったけど、やっぱり緊張してしまう。
でも、これから、それより緊張するのは…。
「家族全員いるからね。後から来るかも~とか、思わなくて大丈夫だからね」
…後から来る方がよかった。
今の拓海さんの発言で、緊張が倍になった気がする。
気を遣ってくれるのは嬉しいけど。
「…菜帆、緊張してる?」
「はい」
「まぁ、緊張するなっていう方が無理だよね。俺も、菜帆の家族に会うとしたら、すごい緊張する。いつかは来るだろうけどね。そんな日」
「…来ませんよ。来てほしくもないです」
「え…?」
「ほら、拓海さん。信号、青になりましたよ」
「へ…?あぁ、うん」
拓海さんは何か言いたそうだったけど、運転中だったせいか、それ以上何も言わなかった。…よかった。
私は、少し沈んだ気持ちを紛らわそうと、窓の外を見たけれど、それでも紛れなかったので目を閉じたら、緊張であまり眠れなかったせいか、眠りの世界に堕ちた…。