君と二人の201号室
…多分違うけど、もしかして…。
「瞳さん、お酒飲みましたか?」
「飲んでないよ~」
ですよね。
拓海さん曰く、瞳さんのコレは通常運転らしい。
家族でも扱いずらいらしい。
「あぁ、やっぱり菜帆ちゃんは可愛いなぁ♡」
「…言ってることが拓海さんみたい…」
「拓海、やっぱり言うんだ。そういうこと」
うっかり私が呟いたことを、瞳さんは聞いてたみたい。
…後ろで、「どーやって拓海で遊ぼうかな~」なんて言ってる。拓海さん、ごめんなさい。
「菜帆ちゃん、そろそろ脱ぎ終わったし、入ろっか。露天風呂もあるからね~。中に入れてるの、温泉の素だけど」
「…いや、充分すごすぎます」
…どんな家ですか。家に露天風呂ある家って。
想像以上にスケールが大きいことに、今さら気が付いた。
…拓海さんと私は、違いすぎる。何もかも。
「ドア、オープン!」
テレビで聞くような掛け声と共に、瞳さんの手によって、ドアが勢いよく開けられた。
第一印象。すごい。それに尽きる。
「広いでしょ~」
「はい、温泉施設みたいです。行ったことないけど」
「ないんかい!じゃ、今度一緒に行こ?」
「さすがにそこまでしてもらうのは申し訳ない…」
「未来の『お姉さん』に何言ってんの」
…瞳さんまで便乗するんですか、それ。
拓海さんの悪ふざけが一気に広まってる…気がする。