君と二人の201号室
イッショニクラサナイ……。
一緒に暮らす!?
……どうしよう、切実に。
1,相手・今日告白してきた(ほぼ)初対面の男の人
2,私・今日その人に告白された極貧JK(独り身)
3,私・他に当てはない
……他に当てはない、か……。
あ、千聖さん…は子供さんいるし迷惑か……。
そもそも、拓海さんの家族の方とか大丈夫なのかな…。
「俺、一人暮らしなんだけどね…。…下心ない…って言ったら、ないとは言い切れないけど、好きになってもらうまで絶対手は出さないから。だから、他に当てもなかったら、どうかなって」
あ、拓海さんも一人暮らしなんだ…。
どうしよう……。冗談…ではなさそうだし……。
「あの、家事とか…手伝うので……。申し訳ないけど、お願いできますか…?」
「申し訳ないどころか、ウェルカムだよ。嬉しいな。じゃあ、もうこのまま俺んち行く?というか、行こう。ここじゃ心配すぎる」
「大丈夫…」
「じゃない!」
「…ハイ」
「ここからもう少し歩くけど、大丈夫?」
「どんとこいです」
「菜帆、面白い」
面白いって…そうかなぁ。言われたことない。
…いや、そもそも言ってくれるような人がいなかった。
ここは、あったかいなぁ。
…こんな人の傍にいられたら、もっとあったかいのかなぁ。
「菜帆は、何か趣味とかあるの?」
「…趣味…ってほどでもないですけど……読書は好きです。昔から、図書館に通って読んでました」
昔から、自分に使えるお金なんてなかったから、図書館は聖地だった。タダで本がいくらでも読めるし。…ってかなりの貧乏性だな、我ながら。
でも、おかげで雑学や普段の生活で使えるような知識が増えたし、活字を読むのが好きになった。
「そうなんだ。俺んちにもそれなりに本はあるから、好きなの読んでいいよ」
「やった…!ありがとうございます…!」
「…さっきから思ってたけど、他人行儀すぎじゃない?敬語取ってみてよ」
「えっと…うん?」
「……どっちにしろ萌えるな。悶えそう」
「今、なんか言った?」
「いや、何も。…やっぱりそのままでもいいよ」
「良かったです…。そっちの方が落ち着きます」