君と二人の201号室
「結局、何が言いたいのかというとさ。私のこと、本当のお姉ちゃんだと思ってごらん…ってこと。ずばり言うけど、菜帆ちゃん、甘えるの得意じゃないでしょ」
「……はい。苦手です」
あんまり誰かに頼ることとかもなかったからなぁ。大体のことは、自分で出来たし。
「うん。だから、頼ってね。お姉ちゃんに」
「お姉ちゃん…」
「どうした、妹よ」
「なんですか…その口調」
…私はなんだか、嬉しいけど、むず痒いような気持ちになったので、湯船に顔を半分ぐらいまで入れて、瞳さんのせいで赤くなった顔を、お風呂のせいだと誤魔化すようにあったまった。
「じゃあ、まず手始めに、お風呂出たら一緒に紅白観よう!」
「こうはく…?」
「年末の定番だよ!」
瞳さんが楽しそうに言うものだから、面白いんだろうなと思った。
「そうなんですか…。観たいです、瞳さんと」
「じゃあ決定!よし、そうと決まれば、背中の流し合いっこしようね~」
「なんでそうなったんですか…」
うん、この姉弟、やっぱり似てる。
ツッコミどころがいっぱいあるところとか。
「嫌?」
「嫌じゃないです」
…ちょっとだけ、憧れたこともあったし。やってみたい気もする。
「じゃあやろう!」
そんなわけで、私が初めて背中を流した相手は、瞳さんだった。