君と二人の201号室
*
7歳、小学校一年生の、春。
家族で、遊園地に行こうという話になった。
…嬉しかった。純粋に。
妹はまだ1歳だったから、私の方が遊園地を楽しめると思った。
…親が私に構ってくれないのは、もう慣れた。
私が我慢すれば、それでいいから。
私は、ウキウキしながら車に乗った。
――遊園地に行く途中、事故に遭い、妹は帰らぬ人となった。
*
お母さんは、うつ状態になった。
ものに当たるようになった。
…もちろん、そのとき、一番責められたのは私だった。
「あんたが死ねばよかったのに」
その言葉は、深く、重く、幼い私の心を壊すには充分だった。
妹が死んだとき、悲しかったけど、きっと心のどこかで思ったんだと思う。
「あぁ、これで私が大切にしてもらえる」…って。
酷いお姉ちゃんだな。
本当に、いっそのこと、私が死んじゃえばよかったのに。
要らなかったのは私の方なんだから。
家庭内暴力…?
そんなの当たり前。
だって、要らないものは傷つけられてもいいんでしょ?
身体に残る傷じゃなかったのが、不幸中の幸いかもしれない。
…お父さんは、見て見ぬふり。
日に日に私の身体に傷が増えていっても、心配するのはお母さんのことばっかり。
段々お父さんまで、仕事でイライラしたら私に当たる始末。
この頃私は、何も感じなかった。
文字通り、何も。
痛い、辛い、悲しい、寂しい、怖い、怒り。
――当たり前だ。
壊れてるんだから。