王子様は甘いのがお好き
七恵と別れると、私は会社へと戻った。

もうすぐ昼休みが終わると言うこともあってか、エレベーターの前にはあまり人がいなかった。

「あっ、乗ります!」

3つあるうちの1つのエレベーターに私は飛び乗った。

「何階ですか?」

「はい、6階です…」

目の前にいたその人物に私は驚いた。

「6階だね」

彼はそう言うと、6階のボタンを押した。

マジか、これは夢か。

私は隣にいる彼をチラリと横目で見た。

――間違いない、『カサブランカ』の社長こと藤宮理京さんだ。

35歳と言う若さで父の跡を継いだ彼を一言で言うならば、“王子様”だ。

180センチの長身に華奢な体型は、まるでモデルのようにスタイルがいい。

仕事ができるうえに人への気づかいができるその性格は、まるで紳士だ。
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