王子様は甘いのがお好き
こんな間近で社長の顔を見るなんて、今日はついてるかも…!

エレベーターの中にいるのは、私と彼の2人だけだ。

こんなことになるなら、化粧直しをすればよかったかも知れない。

少し長めのツヤのある黒い髪と端正な横顔を見ながら、私は少しだけ後悔していた。

その時だった。

――ドンッ!

大きな音が聞こえたかと思ったら、エレベーターが止まった。

「えっ?」

何が起こったのかわからなかった。

「どうやら、途中で止まったみたいだね」

社長が言った。

「えっ…!?」

それはつまり、
「閉じ込められたらしい」

私の気持ちを代弁するように、社長が言った。

「そ、そんな…」

閉じ込められたって、そんなことってあるの!?
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