王子様は甘いのがお好き
「そう言う訳だから、いいな?」

確認するように聞いてきた課長に、
「はい、わかりました」

私は返事をすることしかできなかった。

と言うか、何で私が選ばれたって言うんだ…?

特にこれと言った資格も持っていなければ、これと言った目立った特技がある訳でもない。

仕事は人並みだと思うし、容姿だって良くも悪くもない。

秘書課が人手不足だって言う話も特に聞いていないんだけどなあ。

なのに、営業部から秘書課へ異動することになった理由が全くと言っていいほどに思い浮かばない。

私、エレベーター内で社長に何かやらかしたか?

…うーん、謎だ。

何とも言えない疑問に首を傾げながら、私は仕事の引き継ぎを済ませて、それまで働いていた営業部うから秘書課へと異動したのだった。

 * * *
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