王子様は甘いのがお好き
確か、久保田さんって言う名前だったな。

私はそう思いながら、
「はい、ありがとうございます」

小さく頭を下げるとお礼を言った。

「ストパーをかけてるの?」

うん、何となく聞かれるだろうなって思ったよ。

「いえ、かけてないです。

母親譲りなんです」

私は久保田さんからの質問に答えた。

「へえ、うらやましいわねぇ。

私は生まれつきの天然パーマだから、雨の日はすごく手入れが大変なのよ」

久保田さんは自分の髪を指でさわると、やれやれと息を吐いた。

「そ、そうなんですか…」

ストレートの自分には縁がない話なので、どう返事をすればいいのかわからなかった。

「社長が気に入ったのも無理はないわね」

そう呟いた久保田さんに、
「えっ、何がですか?」

私は聞き返した。
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