王子様は甘いのがお好き
近づいてくる社長から逃げるように私は後ろへ下がった。

もしかして…いや、もしかしなくても襲われるんですか!?

どうしよう、大声をあげて助けを呼ばないと…。

「わっ…」

気づいた時には、時すでに遅しだった。

私の後ろは壁だった。

目の前には美しい顔をした社長がいる。

本当にジョーダンでも何でもなく危険な状況である。

「初めてなんだ」

社長が形のいい唇を開いたかと思ったら、そんなことを言った。

「は、はい…?」

何の話をしているのか、私はよくわからなかった。

“初めて”って、何が“初めて”ですか?

「君のような女性に出会ったのは初めてなんだ」

「えっ…」

聞き返すために唇を開いたら、その唇は彼の唇によってふさがれてしまった。
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