王子様は甘いのがお好き
頬で私の髪をすりすりして、自分の思う存分に堪能している。

そう、彼の目当てはあくまでも私の“髪”が目当てなのである。

一応匂いとかそう言うのには気をつかっている方だけど、やっぱりなれないのには程がある…。

「今日もキレイだね」

社長はそう言って私から離れると、髪をひと房だけ手ですくった。

1本1本を確かめるように見つめているその瞳は、どこか愛しそうだ。

…何がおもしろいんだろう?

社長が髪フェチなのはわかったけれど、やっぱり理解できないものがある。

と言うか、社長はそれで満足なのかしら?

ただただ髪を見つめて、それを楽しんでいるだけで、満足なのだろうか?

髪を見つめた後で、社長は毛先にくちづけをした。
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