王子様は甘いのがお好き
「だけども…」

社長はそこで言葉を区切ると、
「不満足かも知れないって思ったよ」
と、言った。

「えっ?」

さっきは“満足”だって言っていたのに、どうして“不満足”になったの?

それって、矛盾していないか?

そう思っていたら、
「君が僕のことを知りたいって言ったから」

社長はそう言って、私の唇を指でなぞってきた。

「――ッ…」

ドキッ…と、心臓が鳴った。

私はどんな顔で社長の顔を見つめているのだろうか?

「君のことをもっと知りたくなった」

社長はそう言って、
「――ッ…」

また唇をふさいできた。

心臓がドキドキと早鐘を打っている。

私、どうなっちゃっているの…?

頭の中がぼんやりとしてきて、うっかりしたら意識が飛んでしまいそうだ。
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