王子様は甘いのがお好き
「…それは、衝撃的だっただろうに」

私の話を聞いた陽葵ちゃんはそれ以上は言えないと言う顔をしていた。

「髪の毛フェチって何だろうね、本当に」

「声とか手とか、そう言う類のものじゃない?

フェチにもいろいろなものがあるからね」

「そりゃ、そうだけど…」

やれやれと息を吐いた私に、
「それで、社長のことを知りたいって言ったの?」

陽葵ちゃんが聞いてきたので、私は首を縦に振ってうなずいた。

「勇気を出したね…。

私だったらとてもじゃないけど、恥ずかしくて言えないわ…」

陽葵ちゃんはありえないと言った様子で首を横に振った。

そんな彼女に、
「ねえ、陽葵ちゃん」

私は声をかけた。

「何?」

「…例の彼とは結局どうなってるの?」

そう聞いた私に、陽葵ちゃんは表情を変えた。
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