王子様は甘いのがお好き
ハハハ、バカで助かったよ。

救いようのないバカとは、まさにこいつを指差すんだね。

そう思いながら、
「それじゃあ、遅れるといけないので」

私は田原に笑いかけると、その場から立ち去った。

秘書課へ足を踏み入れると、
「佃さん、社長がお呼びです」

田中さんに声をかけられた。

…うおお、朝っぱらからですかい?

心の中で呟いたら、
「頑張ってください」

久保田さんにポンッと肩をたたかれた。

「失礼します」

そう声をかけて社長室に足を踏み入れたら、
「――わっ…!?」

社長がいきなり私を抱きしめてきた。

今日は突然だな…。

一体何があったのだろうか?

そう思っていたら、
「よかった、いつもの君だ」

社長はそんなことを言った。
< 65 / 120 >

この作品をシェア

pagetop