王子様は甘いのがお好き
呼び出されたのは今朝だけで、昼休みは何もなかったと言うのももちろんある。

「キレイだ」

社長はささやくように言うと、私の髪を堪能していた。

「社長…?」

私が呼んだら、社長は私を見つめてきた。

「嫉妬したんだ」

社長が言った。

「えっ?」

言われた私は訳がわからなかった。

嫉妬って、何にですか?

「今朝、君が他の男と一緒にいるところを見て嫉妬したんだ」

社長が続けて言った。

他の男って、
「田原…さんのことですか?

彼は営業部だった頃の同僚で、久しぶりに会ったから少しだけ話をしただけです。

田原さんとは何もありません」

もしかしなくても彼しかいないと思い、私は言った。
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