王子様は甘いのがお好き
「そ、そうですか?

そんなにも変わらないんじゃないかなと思うのですが…」

私はちゃんと答えることができているだろうか?

「本当に長かったら、田中さんから電話が入ると思いますし…」

そう言った私に、
「まあ、それもそうか…」

久保田さんは呟くように返事をすると、仕事に戻った。

やれやれ、危なかった…。

そんなにも長くなっていたかな?

少しばかり気をつけなきゃ…と心の中で呟いた時、
「佃さん、この資料を資料室へ運んでもらうのを手伝ってもいいですか?」

田中さんに声をかけられた。

「はーい、わかりました」

私は返事をすると、資料を持って田中さんといっしょに秘書課を後にした。

エレベーターに乗って資料室がある7階に到着すると、そこへ足を向かわせた。
< 77 / 120 >

この作品をシェア

pagetop