王子様は甘いのがお好き
それから次から次へと多くの会社と契約を成立させた功績から、いつしか私と田原は“ゴールデンコンビ”と周囲から称されるようになった。

人の噂と言うものはすごいもので、次から次へと話が大きくなり…ついには“結婚間近の恋人同士”と称されるようになってしまった。

「何が“佃さんのおかげです!”よ。

こっちはあんたの長過ぎる話を簡潔にまとめて、それを相手にわかりやすく説明しただけだっつーのに…」

私がやれやれと毒を吐いたら、
「頭が悪いにも程があるよね、何で気づかないんだろうね?」

七恵は呆れたように言った。

「頭が悪いから気づかないのよ」

そう言った私に、
「そりゃ、そうか」

七恵は言い返して、一緒に笑ったのだった。
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