王子様は甘いのがお好き
これから取引先に行くと言う七恵とパスタ店で別れると、私は会社へと足を向かわせた。

まだ少し時間あるし、コンビニで紅茶でも買ってから戻ろうかな。

そう思って近くのコンビニへ向かおうとしたら、
「あっ、お久しぶりです」

聞き覚えのある声がしたので視線を向けると、自分の顔がひきつった。

「田原さん…」

噂をすれば何とやらとはよく言ったものである。

こう言う時に限って会いたくない人物に会うなんて、運がないにも程があるでしょ。

「佃さんはお昼ご飯ですか?」

そう聞いてきた田原に、
「お昼はもう済ませたので、紅茶でも買おうかと思いまして…」

私は答えた。

やれやれ、何でこんなことになっているんだよ…。

こんな展開になるとわかっていたら、さっさと会社に戻ったのに…。
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