王子様は甘いのがお好き
秘書課へ戻ると、
「佃さん、社長が呼んでいますよ」

田中さんに声をかけられた。

いつものことだけれども、社長と顔をあわせる気分になれなかった。

だけども、これは仕事である。

「はい、わかりました」

私は返事をすると、社長室へと足を向かわせた。

「失礼します」

社長室を訪ねると、
「いらっしゃい」

社長は色っぽい笑みを浮かべて、私を迎えてくれた。

両手を広げると、社長は私を腕の中に入れた。

社長は私の髪の毛に顔を埋めると、髪の毛を堪能し始めた。

「今日もキレイだ」

そう呟いた社長に私の心臓がドキッ…と鳴った。

髪の毛から顔をあげた社長に見つめられたかと思ったら、
「――ッ…」

唇を重ねられた。
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