王子様は甘いのがお好き
それにしても、顔が怖いうえにデカいな…。

暴漢の1人どころか10人が束になってかかってきたとしても向こうが逃げ出しそうだ…。

「陽葵ちゃん」

私が声をかけると、
「芽実…」

陽葵ちゃんは顔をあげて、私の名前を呼んだ。

「陽葵ちゃん、大丈夫だった?

暴漢に襲われたって…」

私が声をかけたら、
「私は大丈夫、彼が助けてくれたから」

陽葵ちゃんはそう言って、隣にいる彼に視線を向けた。

つられるように私も彼に目を向けると、
「初めまして、武智です」

彼――武智さんは小さく頭を下げた。

「妹の佃芽実です、姉のことを助けてくれたそうで」

私がそう言ったら、
「いえ、たまたまですから」

武智さんは照れくさそうに返事をした。
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