ZUTTO
出逢い
ずっと忘れられない人がいる…
小学5年生の時、図書委員という地味な委員会に入った私は、放課後図書室で本の整理を友達ののっこちゃんとしていた。ふいに頭の上にバサバサーっと何冊かの本、「いった~ぃ」振り向くと見知らぬ男の子。「俺の分もやっといて」といたずらっぽい笑顔で去っていった。 「あれ~?いつの間に隣の転校生と仲良くなったのぉ?わりとカッコイい子がきたって評判なんだよ」とのっこちゃん 「あれが~?」と言ってはみたもののたぶんあきらかに一目惚れだった。
それから私は、彼、杉村くんがいる曜日はずっと図書室に入り浸っていた。
「お前、なんでいつもいるの?」「いいじゃん!私の勝手でしょ」「暇なら手伝えよ」「や~だよ」そんなたわいない会話が嬉しかった。
ある朝、ちょっとした騒ぎがおきた。隣のクラスの黒板に大きな字で

杉村くんが4組の管本さんにラブレターをもらいました!

えぇ~!のっこちゃん?聞いてないよぉ 真っ赤な顔で黒板をふいて教室を出ていく彼、私の横にはこれまた顔を真っ赤にしたのっこちゃん。が、しかしこっちは照れてるんじゃなく怒っているのだ。「あのやろ~誰かにみせたなぁ もうやめやめ!あんなやつ」 こういう時、男より女の方がドライだったりするものだ。
それからののっこちゃんはなぜか私に協力的だった。その頃男子の間で、階段のホールの四角いスペースを使ってミニ野球が流行っていた。 その横を通り過ぎる時、急に私の前にまわってにっこりしたかと思うと、いきなり私を突き飛ばしのだ。
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